171│171オフィシャルサイト

171オフィシャルサイト

171オフィシャルサイト

   

2022.03.0719:32

lovecall | グレーゾーンの私たち

作詞作曲:田村晴信 編曲:171

ここんとこぼんやりなんだか
感情が遅くなってきた感覚
どうにも鈍くなった
夢の中にいるよーな?
上の空って錯覚
拡散してく神戸市灘区
選択せまられるときはいつも
白か黒で片付けられないコト!
あなたを信じていーの?
それとも見捨てていーの?
決められないままでいーの?
まだ先送りにしよ!
そんなこんなで積み重なった議題
まとめて捨てちまいたい
悩みと誓い繰り返したら
何かがいつか見えるのか

中学生のとき伝え聞いた話
で嫌ってきた人がひとり
実はなにもかもカンチガイ
10年経ってから気づいた私!
今更どこへ行こう
また同じ場所を堂々巡り
いつもリピートする曲も
みんなはきっと好きじゃないし?
だから私あっちこっち仲間を探しに行く
まー本当はあなたに分かってほしかった
けどそれは諦めたから、
私は代わりに原付飛ばす神戸市灘区
ぐるぐる 当てもなく
でも鼻歌は歌いつつ

ぅわー!
このままあなたを愛して
すべて上手くいくハズだったのに
今更そんなこと言わないでよ

諦めの果てにつかんだポリシー
こだわりもどうせ私たちまた
どこかでいつかは捨てるのか
この嘆きすら忘れるのか
きっとまた日々、をギリギリ
生きる一方依存しとる 何かに今も
どんどん のめり込んどる ずっと

イナイチの新曲はどう?
ピカイチ? イマイチ?
みんな気にいってくれたらカンゲキ
構ってほしー的な企みだったり……
こんなナンバー作ってみました
今日は冷えこむ神戸市灘区
眠れず抱え込む
ボロボロのレスポール!

あー!
このままあなたを憎んで
すべて上手くいくハズだったのに
今更そんなこと言わないで
優しくしないで
俺を信じないで



いっちょ前に歌詞の解説などを今から書くのだが、歌詞なんてものはリスナーの解釈が全てであって、書いた本人が書いたときにどう思ってたかなんてクソほどどうでもいいことだ。
私自身、ピノキオピーとか銀杏とかみたいに、めっちゃ具体的な話を、普遍的な出来事や心情の寓話として書いている歌詞が好きだし、そういうつもりで書いている。

だから、あなたが思っていた解釈と私の裏話とが違っていたとしても、一切気にしないでください。すき焼き用の肉を、鍋に使おうが、丼に使おうが、負い目を感じる必要はないし、鍋のために買った肉にすき焼き用の文字を見つけても、夕飯をすき焼きに変える必要はない。

それを踏まえて、「中学生のとき~」の部分について。
色々思うところがあるので実名は伏せるが、東京オリンピックに際して「過去に雑誌のインタビューでいじめ自慢をしていた」として大炎上騒ぎになった五輪関係者がいた。騒動の種となった元記事、実は昔から界隈で少々有名なものであり、私も2chかなんかに違法upされていたものを中学のときに読んだのだが、なぜかそのときには「甲本ヒロト氏のインタビュー記事」として紹介されていた。念を押しておくが、これは根も葉もない、多少ネット慣れした人なら瞬時に見破れたであろうデマだ。悪質な偽計か伝言ゲームの失敗か、ともかくその瞬間から私のひねくれたパンク人生が始まりを告げたのである。
今その記事を読んだら感想も違うかもしれないが、中学生の私は当時まぁいっぱしのいじめを受けており、多感な時期のいじめられっ子にとってあの記事は相当な破壊力を持っていた。
「この国を代表するパンクロッカーとされている人物が、過去に強烈ないじめを雑誌で自慢していて、にも関わらず世間では人格者の文化人という評価を受けている」という世界線で、私1人が甲本ヒロトの本性を、パンクロックというハリボテの裏側を知っているんだという聖戦の妄想に10年間酔いしれて音楽をやってきたのである。

ところが2021年になって例の記事が再炎上し、私の愚かなる勘違いは遅すぎる終着を見た。この10年、ブルーハーツも少しは聞いたけれど、どうしてもあの記事がちらついてハマることはなかったし、氏の歌詞に心酔している友人たちには、内心冷ややかな眼を向けていたかもしれない。
幸い、私はこの件を「隠し持っている爆弾」だと思っていたので、積極的にデマを風評したり、ブルーハーツファンに歯向かったりはしてこなかったものの、「あの頃はネットにも不慣れだったんだなぁ」とかではまとめられない重さをもった10年だった。
恐る恐る「甲本ヒロト いじめ」で検索してみたが、甲本氏がいじめられっ子に向けて送った優しいメッセージしか出てこなかった。 私の調べた限り、甲本ヒロトはただただ人格者の文化人だった。

この件を知った翌日、せめてもの贖罪にとカラオケでブルーハーツを歌ってみた。
「見てきた物や聞いた事 いままで覚えた全部 でたらめだったら面白い そんな気持ちわかるでしょう(情熱の薔薇 作詞:甲本ヒロト)」
この期に及んで、まだ自己の境遇に酔いしれている私にすら、手を差し伸べてくれるのか、と思った。この勘違いは許されてほしい、と思った。

前置きポエムが長くなった。ここからも長くなります。

「グレーゾーンの私たち」は、「本気出します」とメンバーに宣言して作った曲。みんなが好きそうな曲を作ってバズりたい!という悲願の成就を目指して作った。こういう書き方をすると眉をひそめる人もいるだろうが、違う言い方をするなら、171というバンドの魅力をアピールできる曲というか、名刺代わりにできる曲にしたかった。
なので個人的につけた条件は、ミドルテンポでノリがいいこと、カナの歌うパートがあること、初見で聞いて面白さがあること、サビはしっかり激しくなること。など?
ラップとか鼻歌パートに関しては、入れたかったので入れただけだが、かなと私がオクターブユニゾンを一回やってみたかった、というのもある。

こうやって書くとなんか、嫌に野心的な戦略アピールみたいになってしまったが、作りたい曲を作ったというだけの話なので、嫌いにならないでください。

ラップに関して。2年前のコロナ流行初期、当時は独り者の私ですらスーパーやコンビニに行くこともはばかられるような世論だったので、長らくスタジオにも入っていない時期があった。
その時期に何度か寂し紛れに171でZOOM会議をした記憶があるが、一度「最近メンバーみんなヒップホップにハマってきたから、会えない期間にはリモートでヒップホップでも作ろう」という話をしたことがある。
結局当時は作らずじまいだったが、いろんなジャンルに手を出してみたいという気持ちはかねてからあり、かと言って「こんなんもできるんだぜw」的なノリのエセラッパーなんてWACK MCだと思うくらいには、私もヒップホップ文化をリスペクトしているので、まずは私の最も慣れ親しんだミクスチャーという形で手を出してみることにした次第である。いつかちゃんとしたやつも作りたい。

私と仲の良い人達は、多分ナンバガの「TOKYO FREEZE」やザゼンの「SIGEKI」、SOADの「Shame(ウータンクランのカバー)」などの影響を見るかもしれない。それはほんとにそうなのだが、「○○しとる」的な言い回しは別に向井へのリスペクトではなくて、私がラップにハマるきっかけになったシュガーヒル・ギャングの「rapper's delight」の歌い出し部を日本語歌詞でサンプリングしたく、元ネタの「you don't stop」と踏める日本語が「依存しとる」しか思いつかなかっただけ笑。
ラップを書くなら一箇所くらいはちゃんとサンプリングを入れたかった。(自分で解説するな! )

これはオルタナのプライドというわけではなくヒップホップへのリスペクトとして、今回はひとまず安易なラッパーっぽい英語は絶対使わず、思っていることだけで韻を踏みながら一曲仕上げてみたかった。むずかちかったです。
フローもしっかり大事にしようと思ったが、はじめに作ったラップはもう鎮座信者のバトルヘッズ丸出しフローだったので、一旦白紙に戻して作り直した笑
この曲を作り始めたのは5~6月だったので、「梅雨も半ばの神戸市灘区」というフレーズが当初は入っていたけれど、四苦八苦しているうちに半年が過ぎてしまい冷え込む季節になってしまった次第である。当初は「梅雨の曲ってあんまないなぁ」というのもこの曲のコンセプトだったのだが。多分今までで一番製作に時間がかかった曲である。

関西弁をどの程度入れるかにも悩んだ。ラップをするなら最低限リアルを感じさせたい。口語で私が使う自然な発音や言葉選びはもちろん関西弁だが、録音された関西弁のわざとらしさはあまり好きではない。そのへんのバランスは曲作りの中で見つけていきたいなあ…。

レコーディングはいつもの三宮246 8stでのセルフレック。 ギターは途中までオーバーダブを重ねているが、1番はいつものレスポール、2番はストラトを使ってみた。ギターソロは2本ともレスポールでオーバーダビングしている。

PVに関して、この曲はデモを作った当時から、実写PVを作ろうと決めていた。当時我々も、なんかいい感じのPVがほしいなぁとかねがね話しており、PVのために曲を作ったと言っても過言ではない笑
デモをメンバーに送った時点で、演奏シーンの録画ではない、しっかりとした実写をDIYで作るということもほぼ決定していた。

この曲は2021年9月くらいからライブでやり始めた気がするが、ここ一年我々は結構限界のペースでライブを行っていたので、レコーディングもPV撮影も結構後ろ倒しになってしまった。待たせてスミマセン。

PVにどういうシーンを使うかは完全に一人一人決めて、お互いに撮りあうスタイルで録画した。私とカナは多少一眼レフの心得があったものの、こんなしっかりとしたPV撮影は初めてだったので、全体的にホームビデオ感は出てしまったが、、、笑
去年アー写用に中古で購入したCanon EOS70Dで全編撮ろうとおもっていたのだが、後ろ歩きで手ブレせずに撮るのが非常に難しく、歩いているシーンはほぼ全て私のiPhone 11で録画している。

予定の都合でモリモリ/田村撮影日と、カナ/田村撮影日の2回に分けた。モリモリとカナの撮影は全て私、私のシーンの撮影はモリモリとカナで半々といったところ。私は最初全編逆再生で撮ろうとか、スローで撮ろうとか無茶な映像技術を色々試していたのだが、上手く行かずに結局全ボツにした。いつかまたやりたいぜ。
ちなみに、ギターソロのシーンで使っている映像は実際に左chのソロを録音しているときの映像である。これ撮るのに2時間位かかりました笑
全員出演者でカメラマンで監督というスタイルは非常に我々にあっていると思ったし、これからもこういうPVは定期的に撮っていきたい。次の撮影までにちゃんとした機材と知識を仕入れます、、、 長文書きすぎました、最後まで読んでくれてありがとうございます!!

2022年3月7日 文責:田村晴信

歌詞&雑記一覧