2023.04.2719:35
マイ セカンド カー | GO GO リトルカブ
作詞/作曲:田村 晴信
編曲:171
ずっと過ごしたあの街が あの日々が
霧に埋もれて消えていく
あれだけ捨ててこの街にやってきたのに
まだまだ荷物は多すぎるらしい
真夜中 貸切車線 とばして
誰にも見えないスピードで
この霧の向こうが見えるまで
こんな思いを今からふたりで吹き飛ばすには
もう歳をとりすぎたって言うのか
細かいことから知らぬ間に順番に
もやがかかって薄れてく
どこかで落としたものばかり気になって
今夜の目的地決めぬまま
真夜中 貸切車線 とばして
冷えたアスファルトひとりじめ
この日々の意味がわかるまで
ほんの束の間 見た幻に囚われたまま
だけどまだ、まだ! どうしてもまだー!
もしお前がタイムマシンで
ふたりあの頃に戻れたとして
何の意味もどうせないのかも
結局のとこ 何も昔と変わらないまま
ずっとただ俺の勘違いなんやろう!
大学生活を過ごした六甲の街をようやく離れて、京都の実家へ引っ越して……みたいな時期に作った曲。
本当はもっと引越しにフォーカスをあてた曲にするつもりだった。
「グレーゾーンの私たち」と「インターネットを憎まないで」を除けば、本アルバムで最初に完成した曲である。
これを作った2022年6月当時、私は少しスランプというか……
『爆風マグマ音相撲』の企画・編集や、PVの制作に追われているうち、「lovecall」の2曲を作った2021年8月から、1年近く過ぎようとしていた。
めんどいので固有名詞のカギカッコ外します。
このスランプ?マンネリ?は実はlovecallの2曲を作った時からで…
近況報告までの曲作りは非常にハイペースで、1ヶ月に1曲は新曲ができていた。
そんな私達だったが、近況報告で最後にできた曲(薄暮 2021年1月)から、lovecallの2曲(ともに2021年8月)までは半年以上ブランクがあいた。
ライブが増えたり就職したりで多忙になったことも勿論だけども、根本的には、私自身が近況報告に満足していたのだと思う。
そんな事情でlovecallの2曲は以前よりゆっくり作り込んだが、lovecallのリリース後はもっと満足してしまい、逆に少々焦りはじめていた。
東京行きの夜行バスで歌詞を詰めて、東京のスタジオでデモの歌を撮ったのを覚えている。
当時すでに構想していたレンチキュラー、インターセクション、ネットスターあたりを仕上げても良かったが、lovecallでは私の好きなことをやったので、久しぶりの新曲は「モリモリが好きな曲」をテーマにした。
着想は当時モリモリがハマっていたGEZANのAbsolutely Imaginationだった気がする…
イントロや最後のブレイクは、スモーキンビリーの丸パクリ。
大サビ最後の歌詞は、ピノキオピーの「Obscure Questions」の「全部後付けなんだろう」を意識した。
なのになぜかライブでやりはじめてみると、ナンバガっぽいナンバガっぽいと各所から声が届いた笑 おもしろい話である。
書いてみればかなりカブ推しの曲になったのだが、仮タイトルは「Lowway Star」だった。
「ハイウェイ・スター」と言ったら色々カッコいい車が浮かぶけれど、生活道路に群がる50ccたちが全部カブを原点として生まれたと思えば、ローウェイ・スターの称号はカブのものなんじゃない?と思いまして。
結局歌詞にカブは登場しなかったので、タイトルで提示しないと2人称が恋人だけを意味してる感じになるなぁ、とか考えて、このタイトルに落ち着いた。まぁこれが一番、自分らしい気がするし……。
既に巨大な文章量に達している気がするが、楽器の話もさせていただきます。
P90レスポールを10年以上使って、このギターの「正解」は、ミックスポジション×クランチだと痛感したが、これはP90のシングルコイル感が最も出るセッティングでもある。
私はずっと、シングルで綺麗な音楽をやっている人たちを憎んできたので笑、深く歪ませたリアPUでハードロックな音を出していたかったし、曲中で一回は必ず暴力的なエフェクターを踏みたかった。
しかしまぁ俺ピスをライブでやりはじめて気付いたが、私のギターはどう足掻いても暴力的なので、素直に私のセッティングで出せるベストな音を作ってみた。
前作までのギターの録り音が不満だったので、今作では満足いくクオリティとなって嬉しい限りである。
私が作ったデモでは終始シンプルなエイトビートだったのだが、その時期に対バンしたZOOZのドラマー「16ビートはやお」さんにモリモリが感銘を受けたため、サビは16ビートになった笑
そのためこの曲のサビのスピードはモリモリの体力によって決まる。
lovecallまでの曲には「歌ってて楽しくない」という大きなデメリットがあった。
たまにカラオケに行って好きな曲を歌うと、楽しくてビックリする。
爆音のライブハウスでは歌なんか聞こえないし、とか、あんまりポップなメロディはロックが薄まるし、とか色々考えていたけれど、結局メロディ作りに手を抜いていたなと反省した。
結果的に楽しく聴けるメロディができたので、「楽しく歌えるメロディ」はアルバム全体のテーマとなり、バンドの曲作りを新境地へ連れていく推進力になった。
今作の制作がスタートした曲であり、方向性を決めた曲でもあり、色んなしがらみを断ち切れた曲でもある。
アルバム制作初期から、1曲目はこれしかないだろうと決めていた。
胸を張ってこれを代表曲だと言えることが、今の私たちを表していると思います!
2023年4月27日 たむら