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2024.01.1519:55

マイ セカンド カー | さよならパッソくん

作詞:モリモリ / 田村晴信
作曲:田村 晴信 / 171
編曲:171

忘れても思い出せるほど
きっかけを作ってきたから
大切にしてたものを
簡単に捨てられたな

空を飛べない
僕らが右往左往してる姿は
そこそこ似合ってたろ
それなりに悪くはなかったろ



意識した曲はもちろん、銀杏BOYZの「人間」

私の魔改造アコギ(アイバニーズのハムバッカー搭載)で全編録音した

爆音のMARSHALL 1959にアコギを繋ぎつつ、直接マイクも立てて、チューナーでミュートした状態で弾き語り部を弾いて、そのまま全員入って最後まで全編通し。
3人でせーの!で録音した。
バンドが入って以降もアコギに直接立てたマイクはONのままだったが、爆音レコーディングなので当然のようにアコギの音なんか一切拾えていなかった笑

弾き語り部でサーってなってるノイズはもちろん、マーシャルがミュートスイッチの解除を待っている音です。

モリモリの作った曲をアルバムに入れたいという構想はずっと前からあった。

本当はlovecallのときに3人でラップを回す曲、ガッツリhip hopな曲を作ろうとしていて断念したのだが(今作でも無理だったけど、いつかやりたい)

なんとしてでも3人全員の作詞欄を解禁したかったので、工数的に現実的に制作できる方法を探した。

一旦私が全体の曲と歌詞とテーマを仮で作ってモリモリに送り、作れるところだけ歌詞を作ってもらった。
余った私の歌詞はPassengersで吸収した笑 (高速は大渋滞〜あたり)

結果的にAメロ?の部分がモリモリ作、サビの部分が田村作です。
自分の語彙とか思考回路の延長線上では出てこない言葉だし、この曲のコンセプトとしてのリアルさ、深みが出たと思う。

パッソくんというのは、「まどのそと」「グレーゾーン」「憎まないで」のPVなんかにも登場した、モリモリのファーストカー・トヨタパッソ2016年式(青色)である。

友達が車を買ったこと自体もそうだが、バンドの機材車ができたことは我々の活動にとって革命的な出来事だった。

それまでは阪急や御堂筋線なんかでアンプとボードとギターをひいひい言いながら運んだり、スタジオのロッカーに入った機材を朝早くレンタカーで回収したり、ライブ会場に到着するまでにヘトヘトになっているような状態だった。

唯一ストレートで大学を卒業し、1年目で車を購入したモリモリへの思いは、感謝とかリスペクトとかでは語れないほどである。

もちろんそれと同じくらい、パッソくんへの感謝も尽きることはない。

京都大阪神戸から、実に東京まで、パッソくんが連れて行ってくれた場所は数知れない。

道ゆく車に舐められながら、辛酸を舐めながら、地べたを這いつくばって我々は走り回った。(モリモリが1人で運転して。)

自分が車の免許をとって、パッソくんを初めて運転したとき(初東京遠征の帰りだった)、酷い渋滞に捕まった。
もしこの車が空を飛べたらよかったのにな、と考えた。

このアルバムのレコ発2本目、首都爆走編で話した話をリピートさせてもらう。

171を組んだ頃は、アッという間に売れると目論んでいた。
汚い手も、こっすい手も存分に使って、この国の音楽シーンの階段を2段飛ばしで駆け上るつもりであった。

しかしまぁ、甘くなかった。
甘かった、とも言える。

アルバムを出すたびに、ライブをするたびに、これで生活が一変するんじゃないか、と期待している。

実際ジワジワと見える世界も変わって、バンドを始めた当初から考えれば想像もできないような場所に来たと思う。
それはひとえに、応援してくださる皆様一人一人のおかげです。ありがとう。

あの頃の自分が今の自分を見たら、「売れてる」と思うかもしれない。
でも、あの頃思い描いてた夢物語は夢物語だったとも思う。

それでも、最初の1人、友達だからじゃなくて、音楽で僕らを見つけてくれたファンができたときの気持ちは、忘れられないなぁと思う。
(応援してくれてる友達のありがたさは、骨身にしみている上で、です。ありがとう)

いつのまにか1人が3人になって、10人になって、数えることができなくなって。

てんでいなかった「友達のバンド」が一組できて、三組になって、レコ発ツアーで網羅できないほどに膨らんで。

地べたを這いつくばってやってきた、という自信ができてしまった。

我々はプライベートジェットで飛び去ることができなかったけれど、アンダーグラウンドを気取るつもりもない。

アンダーグラウンドでも、雲の上でもなく、オンザグラウンド。
不本意ながら、現場叩き上げのロックバンド、171です。

空を飛べない僕らが右往左往、というのはそういう意味でもあってほしいなぁ。

そういうのが似合うバンドになれたのは、間違いなくパッソくんのおかげです。

2024年1月15日 タムラ

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