2025.03.1921:23
LIFE WORK | ELECTRIC LONELINESS
ELECTRIC LONELINESS
作詞:カナ, 田村 晴信
作曲:カナ, 田村 晴信, 171
編曲:171
ひみつの合言葉
インターネットの手の中
夜の闇を海底ケーブルが
世界中と繋げてしまう
今すぐどっかに行っちゃいたいよ
なるべく遠くへ ネットサーフィン
もう少し もう少し もう少しだけ
この温度をわかってほしいよ
できるだけ大きく アンプリファイ
まだ足りない まだ足りない
electricな僕のloneliness
脳内感情言葉
0=1 繋がれる
インターネットは知らない間に
少しずつ僕らを平等に
昼間と夜中を平等に
テレビ局と小部屋を平等に
僕らの夜更かしを
誰かの歌声を
太平洋横断国際海底ケーブルが
世界中へとばらまき続ける
僕の声をレスポールスタジオが
真空管まで届けてしまう
imaginary dance in the music
imaginary dance in the music
もう少し もう少し もう少しだけ
imaginary dance in the music
imaginary dance in the music
まだ足りない まだ足りない
まだ足りない まだ足りない!
君のところへ 飛んでゆきたいよ
光の速さで フライバイワイヤー
どこまでも どこまでも どこまでだって
この衝動を わかってほしいよ
できるだけ大きく ロックバンド!
まだ足りない まだ足りない
electricな僕のloneliness
●この曲ができた経緯
2024年の10月くらいから、定期的にカナと2人でリハスタに入って曲を作るようになった。その生活の最初に作った曲。
最初のギターリフをカナが持ってきてくれて(最初はベースでカナが弾くという話になっていたのに、いつの間にかギターのリフになっていた、ごめんなさい)、タムラがコード展開を膨らませたりしていって作った。
カナが歌う曲をどうやって作るかというのは結構いろんなパターンを今まで試していて
①歌詞も曲も全部田村が作って、ただ歌ってもらう(懐古/ドライブの終わり など)
②歌詞と曲の方向だけもらって、曲構成とメロディは田村が全部考える(終演です/知恵熱/薄暮)
③田村のメロディと全体の構成を田村が考えて、カナには自分の歌うところの歌詞とメロディを考えてもらう(幻像と重力/インターセクション)
④コード進行と全体の構成を考えて、カナに歌詞とメロディを考えてもらう(レンチキュラー)
⑤3人で集まって、みんなで構成とかコードとか考えながら作っていく(Suagari/紡)
などがあった。
今回は⑤に近いが、今までコードとか構成を全部一旦作りきってから、「じゃあメロディ考えといてね~」としていたところを、スタジオでコード進行とかキーとかと一緒にメロディもリアルタイムで考えていくことにした。
今まで、RECの現場で音域的な厳しさが発覚することが多かったので、それを避けるのが目的だったのだけれども、この作り方にしたことによって、「Aメロはカナが考えたメロディを採用、Bメロは田村」みたいな感じで、「2人が出した案の中で良い方」みたいな作り方ができるようになった。
大変良いことだ。しかし当初の目的であった、キーが気持ちいい曲を作るという目論見は失敗した。
僕にもカナにもこの曲は高すぎる。
●DEMOをすごく急いで作った話
もともと快速急行とSunday Dreamersが夏くらいからできていたので、171的には前述の2曲だけでシングルとして作ろうと思っていたのだが、外村さんから「もう1曲カナちゃんが歌う曲入れて、EPにできないかな」といった無茶振りを貰い笑、急ピッチで1番のデモだけ仕上げたのがこの曲。
本当に急ピッチだった。
「今日中にはツアーのフライヤーをチケット販売サイトに送らないと間に合わない」っていうギリギリの日に「今日いい曲ができたら3曲入りEP、できなかったら2曲入りシングル」という取り決めをして、田村はシングルVerのツアーフライヤーとEPVerのツアーフライヤーを2通り用意した状態でスタジオに入った笑
メロディと楽器のアレンジが1番のABサビまでは全部できた!というタイミングで、スタジオの残り時間は残り25分だった。
この時間でDEMOを作りきらないといけない。
このとき決まっていた歌詞は、サビの最後の「ELECTRICな僕のLONELINESS」の1行だけだった。
リハーサルスタジオは5分前退出、その5分前には片付けはじめないといけない、残り15分。
2人分の歌を撮るのに5分はかかる、残り10分。
しかも今田村はすごくうんちに行きたい、詰んだ。
「 AメロとBメロの歌詞はトイレで考えとくから、サビだけ考えといて!5分で戻る!」とカナに言い残し、私はStudio246JUSOの電波の届かないトイレで歌詞を考えた。
クソゴミウンコマン田村は、Aメロの歌詞が全く浮かばないまま7分後に帰還した。
仕方がないのでAメロはハミングで誤魔化して、1番だけのDEMOをGoogle Driveにアップロードし、田村はbedcover!の味園ユニバース公演へ向かったのであった…。
ハミングから歌が始まるのはそういう経緯なんです。
このDEMOをこれまた外村さんがいたく気に入ってくれて、「Aメロはこのまま全部ハミングでいいんじゃない⁉️」などという妄言をくれたのだが笑、結局カナに頼んでAメロの途中からは歌詞を入れてもらった。
曲の仕上げも急ピッチで進んだ。
Sunday Dreamersのプリプロをした日、スタジオの時間が1時間ほど余ったのでELECTRIC LONELINESSの初合わせを行った。
2番はサビ行かずにギター・ソロ、そのあとに落ちサビからのサビ、外村さんにも手伝ってもらいつつ曲の骨組みを仕立てていった。
またもや時間はあっという間に過ぎていき、「時間がないからさっき言ってた感じで一回合わせて、それ録ってあとで考えよう!」となり、171の最も苦手とする行為:ジャムセッションが始まった笑
大サビ前のブレイクのドラム・フィルは、そのときのモリモリが反射神経だけで叩いたフィルインがそのまま残った。
曲の終わり方を決めていなかったことに気付いて大サビ終わりに3人で見つめ合ったのを覚えている笑。
曲の最後がギターだけ残るのも、「曲の終わり方」を決めないまま録音を始めてしまったためにタムラだけが取り残されてしまった名残りである。
●この曲をレコーディングしたときの話
すでにすげえ長文を書いているけど、REC現場でもこの曲には色々なエピソードがあった。
伊豆スタジオにはレスポールとフライングVを持っていった。
もし1本だけだと壊れたとき詰んじゃうし、かといってストラトとかを持っていくと他の曲でも「こっちのがいいじゃん」ってなってしまいそうだったので笑
せっかくなのでこの曲ではフライングVを使うことにして、3人でどん!と合わせて録音した。
僕的にはサビだけAC30あたりのコンボアンプにフライングVを入れてダブリングのギターを撮るつもりだったのだが、外村さんに「マーシャルのまま、竿だけ変えて1曲全部弾いてみてほしい」と言われた。
それは流石にハードロックすぎないか?と思ったのだけれど、このハードロックすぎるアレンジが、思いの外この曲にハマった。
しかも歌入れのときに気付いたが、これを言われてなかったら歌詞にレスポールって入れてるのにレスポール使ってない特大嘘つき曲になるところであった。外村さんありがとう。
エンジニアの濱野さんは「AC/DCみたい」と喜んでいたが、田村はAC/DC原理主義者なので「AC/DCを誤った解釈で聴いている80年代のUSバンドみたい」と喜んでいた。
この曲のギターソロは、ワーミー踏んでるぶん結構ダビングが苦戦しそうだったのだけれども、ほぼ1発でバシ!と決めることができた。
Bメロ~ソロの流れでダビングのギターを弾いてるとき、AC/DCや、Eddie Van Halenや、Nuno Bettencourtになれなかった世界中のB級ギタリストたちに背中を押されているような感覚になった。
「おい日本人、お前が行け!!」と。
行けたかはわからないけど、少なくとも、まだ自分もEVHになれると本気で信じているクソガキどもの、背中を押してあげられるようなギターソロにはなったと思う。
ちなみにこのソロはエンジニアの濱野さんお気に入りの一品で、「これイントロにしようよ!」と外村さんに提案して却下されていた。