2026.07.2017:00
音楽 青春 LOVE | 青春のウソホント
青春のウソホント
Truth or Lies: Our Youth
作詞作曲:田村 晴信 編曲:171
本当は涙に理由なんか
ないってわかってたのにな
ななななっなななーなな
なにもかもが全部誰かのせいだ
って信じこんでいました
たたららったらたーらら
エイトビートが僕の鼓動を
忙しなく動かしたころ
目の前で聴いたドラムの音量
僕らだけ知ってた場所
エイトビート、もっと速くもっと!
もっともっともっと!
ロックバンド、もっともっともっと!
ロックバンドもっと!
本当は心に形なんか
はなからなかったのかもな
ななななっなななーななっな
なぜかあの頃は心を切り刻みながら
言葉で表そうとしてた
たたららったらたーらら
POWERからSTAND BY!
マーシャル100W
初めて弾いたときの音
58のパチモン、冷房の効かない楽器庫
真夏に結露した窓
それって本当に見たこと?
どっかで聞いたこと?
青春のウソホント
わからなくなってきたこの頃ずっと!
あぁ、ばれないようにさ
隠してたけどさ、俺さ
ずっと誰かが妬ましかった
あの頃には二度と
戻りたくはないな
ななななっなななーなな
ななななっなななーなな
青春の本当を
あなたは忘れたのか
ちゃちなプライドの
利息に追われていた
この世界は案外適当な
作りになっていたんだな
ななななっなななーなな
あふれる涙こらえれば僕たちは
大人になれるって吹き込まれてた
たたららったらたーらら
青春色の絵の具で
あの日の町を塗らないで
くだらない本当を返して
喧嘩の虚しさを返して
無力な朝を返して
無力な昼を返して
無力な夜を返して
あの町に僕を帰して
青春の本当を
俺は忘れちゃった
たたららったらたーらら
たたららったらたーらら
あの頃へもう一度
俺を戻してくれよ
戻してくれよ
戻してくれよ…
戻して!くれよ!
●タイトルについて●
この曲は今までで1番タイトルに悩んだ気がする。DEMOができた時のタイトルは「バックミラー」だった。それもオシャレなんだけどいつでも使えるし、もう少しストレートなタイトルをつけたかった。ディレクターの外村さんからも、タイトルはリリースまで練った方がいいかもねという助言ももらった。
みなさんはどれがいいと思いますか?↓↓

タイトル案はいっぱい。「想い出なんかいらない」良いね。頭脳警察の「コミック雑誌なんかいらない」とH2Oの「想い出でがいっぱい」の子どもみたいですね。これは絶対再利用したいね。RP-HJE150ってのは僕が大学時代まで愛用していたPanasonicの激安イヤホンです。バックミラーというタイトルは再利用大有りだと思っているが、ババババックミラーはガチで今回でしか使えないので、絶対ナシやろと思いつつ実は少々未練があった笑
この曲は絶対タイトルに「青春」を入れるべきだという気持ちがあったけど、ep告知で曲名を発表してからリリースまでに2ヶ月近く待たせることになってしまうので、もし『衣替え』の強火ファンがいたとしても「ダブスタやないか!!!」とならずに「一回聴くまで待つか」となってもらえるようなタイトルにしたかった。まぁそういう保険の姿勢は抜きにしても、そのくらいの期待度を作れるタイトルというか、面白いタイトルにするべきだと思ったし。
この曲では明確な嘘を1個ついている。「58のパチモン、冷房の効かない楽器庫 真夏に結露した窓」のところ。高校生のころ軽音楽部の部室で大盛り上がりロケンロールになっていたら、夏に窓が結露したのを覚えている…。あれ? どうだったっけ…。いや、そのエピソードについては本当にどっちだったか思い出せないのだけれど、明確な嘘がひとつあるんです。「冷房の効かない楽器庫」という言葉。
楽器庫っては高校の軽音楽部の部室ではなく、中学の吹奏楽部の部室の名前なんですね。
高校のころ部室をなんて呼んでいたか、歌詞を書いててどうしても思い出せず、仮歌詞では一旦吹奏楽部の部屋の名前を入れておいた。で、その後高校の顧問の先生と会う機会があったので聞いてみると「BOX」という呼び名だったんですね。うわー懐かしい。
でも、BOXは歌詞でいきなり言われて伝わる言葉じゃないよね。
あと、押韻的にも楽器庫のほうが都合がいい。「スタジオ」にしようとも思ったのだけれども、スタジオって言うとリハーサルスタジオが思い浮かぶし、リハーサルスタジオって窓があるイメージがない。「楽器庫」のほうがローカルな思い出の雰囲気が出るし、子音もカツカツしてていいなぁと思い、完全に嘘だとわかった状態で楽器庫という言葉を採用することにした。
ひとつだけ言うなら、高校の「BOX」のクーラーも弱かったけど、中学の「楽器庫」はガチで空調が存在しない小さな倉庫部屋だったので、夏場は灼熱だった。
ちなみに大学の部室は当時「楽堂」って呼んでましたね。でもやっぱ楽器庫って、「知らんけど何か田村が学生時代に使ってた練習室的なとこの名前なんやろ?」って絶妙に伝わるじゃないですか。まぁ実際の楽器庫は本当に楽器を保管するための部屋で、そこで練習することはあまりなかったのだが。知らねーよ!って感じですね。すみませんね。
でも書いてる本人としてはね、こういうちっちゃい嘘って結構ずっと歌ってて引っかかっちゃうんですよね。
そんなことを色々考えていた結果「嘘と本当」という二律背反が歌詞の重心になっているなぁと気付いて、現在のタイトルを採用しました。2回目の1Aの「青春のウソホント」という歌詞はタイトルを考えてから差し込んでいる。
ちなみに第一案は「青春・ウソホント」だったのだが、「青春のウソホント」の方が良い曲に見えそうなのでそうした。本当は「青春のウソ⁉️ホント⁉️」にしたかった。無理でした。
●この曲ができた過程●
メジャーデビューツアーのクアトロワンマン2公演では「大人と子供」についてのMCをしたんだけれども、最近そういうことについて考えることが多くなった。28歳になったってのは大っきいね。今そういう曲も作ってます。
『音楽やろうよ!』の雑記でも書いたように、今作では「171の最高傑作を作る」という気合いの入ったオーダーがあり、どんな曲を作ろうか私は考えあぐねていて、「171の自己紹介的な1曲」としてこの曲を作った。
171の重心としてこの曲を作れたからこそ『音楽やろうよ!』と『love』を作れたとも思うし、『音楽やろうよ!』と『love』がああいう曲になったから『青春のウソホント』が今の171の重心としてこういう形になったとも思う。
最初弾き語りでドラムが入ってきて…という構成は元々考えていたけれど、ボロフェスタで見たドレスコーズの「ビューティフル」はキョーレツにかっこよくて、ドラムが入ってくるところは完全に『ビューティフル』とか『物語はちと?不安定』のイメージでミックスした。
この曲ではIZU STUDIOの濵野さんが所謂mono drum kit的な感じの役割としてバスドラの上あたりにAKGのコンデンサかなんかを1本立てていたのだが、これをCubaseのDatubeで歪ませると本当に良い音で、この曲のドラムの音はその1本のマイクを中心に音を作っている。
ドラムインから「ロックバンドもっと!」までは本当にその1本だけの音で、all in以降から他のマイクも足しているのだが、多分聞こえているドラムの音の7割くらいはその1本のマイクなんじゃないかな。
少々ノイジーな仕上がりになったけど、そこも含めて気に入っている。
あと何気に、こういう平成J-Pop式のラスサビ転調も初めての試みですね。そういう古き悪き平成の技は積極的に取り入れたいですね。
LOOPを作ったとき、「もうこれでこういう懐古趣味的な曲は作らなくていいや」と思った。思ったのだが、結局また作ってしまったし、懐古という私が人生をかけて?考えてきたテーマに対して一番素直でいいものが作れたと思う。
今のところ、「今度こそもうこういう懐古趣味的な曲は作らなくていいや」と思っている。またすぐ覆るであろう。
●衣替えについて●
そもそも私は青春っていう言葉が嫌いだった。アオハルって読むともっと嫌い。
2nd Album『近況報告』収録の『衣替え』では、青春って言葉嫌いです、で一曲書いてしまった。はっきり言って、今だから言うけれど、『衣替え』の歌詞を当時からあんまり私は気に入っていなかった。恥ずかしい歌詞を書ききれずに、1番恥ずかしいポイントで止まってしまった感覚があったというか…笑
正直当時は『衣替え』を没にするかも迷ったくらいで、私の迷いはメンバーにも伝わってしまっていたと思うのだが、モリモリに「この曲を必要としてる人はいると思うよ」と練習のときに言われて収録を決めたという、密かなエピソードがある。
私は一度言ったことは簡単に覆したくないタイプなので「青春って言わない縛り」も律儀に守っていたのだけれど、「『衣替え』は「青春」という言葉に対する俺の最終結論ではない」という感覚は当時からずっとあった。もっと違う角度から作れる気がするというか。
それから私も色んな曲を知りました。
モールル、銀杏、ピノキオピーは当時から聞いてたか。ブルーハーツ、台風クラブ、バイセーシ、PUP、Theo Katzmanなんかはバンドを組んでから出会った気がする。
中でもJeff Rosenstock氏との出会いは私にとってすごく大きなものだった。
Jeffが13歳からはじめたスカパンクバンド?プロジェクト?The Arrogant Sons of Bitchesは全方面に唾を吐くような歌詞を、狂気的な速度のスカサウンドに乗せて歌うバンドだった。
人数が多いバンドながら、他メンバーやサブボーカリストもとても魅力的だったThe Arrogant Sons of Bitchesだが、彼らは2007年に名盤『Three Cheers for Disappointment』を残して解散する。このアルバムは本当にすごい。本当に聴いてください。1曲目から超高速で撒き散らされるフラストレーションは、一つのバンドの終わり、青年期の終わりに向かってアクセルベタ踏みで突き進んでいくかのよう。
このアルバムと出会ったのは私が最も病んだいたときで、本当に朝から晩まで1つのアルバムを聴き続けていた。間違いなく私がこれまでの生涯で最もリピートしたアルバムだと思う。
狂気的なまでに明るいスカサウンドに乗せて歌われる混沌とバンド解散への道のりは、当時の私にとって本当に美しいものに見えた。若さを燃やした輝き、きらめき。当時私は「これを青春と呼ばずになんと呼ぶんだ」と思い、過去の自分の歌詞にとても苦しめられていた。
Jeff氏がそのあと組んだバンドBomb the music industry!やソロ活動も大好きだけれど、どうせその話は永遠にするので今日はこの辺にしときます。Syke! Life is awesomeって曲だけ聞いといて。
私の「青春観」を変える最後のひと押しになったのは、森田公一とトップギャランの『青春時代』(作詞:阿久悠)だった。
とてもシンプルな歌詞だし、割としっかり「昭和のお茶の間」用に作られた建て付けの曲だと感じる。でも、私が『衣替え』で長々と歌詞を書いて言おうとしていたことを阿久悠御大はサビの4行でまとめあげてしまっていた。
『青春時代』を聴いて初めて、大人たちの言う「青春」が美化だけの話ではないことが信頼できたというか…。10代の私はハッキリ言って、マキシマムザ亮君のことしか信じていなかった。
それから、田村ソロでやってるmy generationという曲で「青春時代」という言葉を使ってみたりした。その曲を作ってからも色々考えて、「28歳の結論」として青春のウソホントを今回作ったというわけ。これをもって、やっと『衣替え』が完成したというか、供養できたというか…。そういった気持ちである。
嫉妬とか心変わりとかの人間の愚かさ、若き日の無力感、それを全部覚えているのに自分を惹きつける強力なノスタルジーの引力、そういったものを悔いなく1曲にまとめることができたと思う。一曲の中に真逆の歌詞が入ってる曲が私は好き。
『近況報告』は22〜23歳くらいのときに作っていたわけだが、今になって振り返るとアレやね、当時はまだまだ「青春真っ只中」やったね笑 昔の自分にこんなこと言ったら殺されるね。
『衣替え』は当初『ある季節の終わり』というタイトルを考えていた。まだまだ混沌の年齢には居ながらも、流石に一つの季節の終わりみたいなものは見えていて、周りが就職していく中当時の私はお先真っ暗なニート街道を突き進んでいて、早くガキの季節を抜け出そうと精一杯背伸びしていた。
その背伸び、見栄っ張りも当時から自分ではちゃんとわかっていて、『衣替え』の歌詞においてもそれが1番ね、恥ずかしかったんよね。大人ぶってるのがね。大人ぶるって行為は、子どもしかやんないって当時は思ってたからね。
でも大人ってみんな頑張って背伸びして大人ぶってるんですよね。下駄はいて背伸びして、その上での皆の平均身長を「大人」と呼んでいるんでしょうね。そういうことも28歳の田村はわかるようになりました。
うん、ガキ田村は、それを理解する前にちゃんと『衣替え』を作れてよかったね。初めて自分でそう思えました。
2026/07/15
文責;田村
